じゅくせんのつぶやき2

個人塾を経営しています。読書のこと、日常のことをつぶやきます。

2021-04-01から1ヶ月間の記事一覧

久遠恵「ボディ・ダブル」

★ 「小説推理新人賞受賞作アンソロジー Ⅰ」(双葉文庫)も最後の作品。第17回(1995年)受賞作、久遠恵さんの「ボディ・ダブル」を読んだ。 ★ 舞台は大阪、捜査第4課に籍を置く刑事が主人公。男の妻は数年前に失踪した。その背後にはあるヤクザが絡ん…

本多孝好「眠りの海」

★ 男は目を開けた。最初に見たものは焚火の炎だった。どうやら男は死にきれなかったらしい。次に男は少年の声を聞く。少年だが妙に大人びた瞳をしている。少年は砕けた関西弁で男に語りかける。 ★ 本多孝好さんの「眠りの海」(「小説推理新人賞受賞作アンソ…

村雨貞郎「砂上の記録」

★ ミュージシャンの和泉宏隆さんが亡くなったという。和泉さんと言えば。T-SQUARE時代の「TWILIGHT IN UPPER WEST」や「FORGOTTEN SAGA」が印象に残っている。私はエレクトーンで演奏したことがある。いい曲だ。1958年生まれって、私と同い年か、還暦は…

浅黄斑「雨中の客」

★ 「ふしぎ駄菓子屋 銭天堂」が小学生の話題になっているとかで、原作第1話を読み、アニメ第1話を観た。 ★ 第1話は水泳が苦手な小学5年生の女の子の話。幸運な人だけが見つけられる「駄菓子屋 銭天堂」。女の子は人魚の型抜きグミを売ってもらう。そして…

中島たい子「漢方小説」

★ 第3回緊急事態宣言初日。スーパーは意外と空いていた。マクドナルドがイートインを止めたので、ドライブスルーを待つ車が車道にあふれていた。それが原因で、交差点はひどい交通渋滞。 ★ 中島たい子さんの「漢方小説」(集英社)を読んだ。第28回(20…

栗田有起「ハミザベス」

★ 緊急事態宣言前日。少々多めに保存食を買い込んで、17日間の籠城戦が始まる。といって、どうやらバッハ会長の来日ありきの日程、2週間余りで感染爆発が収束するとも思えないが。 ★ 栗田有起さんの「ハミザベス」(集英社文庫)から表題作を読んだ。第2…

室積光「史上最強の内閣」

★ 表の内閣は、「地盤、看板、鞄」を譲り受けた二世、三世の世襲議員ばかり。お坊ちゃま達は、国家の危機に直面しても右往左往で物事を決めることができない。与党に限らず、野党も似たようなものだというから悲劇的だ。でも、心配はご無用。日本には京都の…

映画「ミッドナイト・スカイ」

★ 朝令暮改が常となりつつある昨今、3度目の緊急事態宣言で私たちの生活の何が変わるのか、政府も自治体も早く方針を示してほしいものだ。政府と自治体(とりわけ大阪)は休業要請の線引きでもめているようだ。結局は補償、お金の問題だね。 ★ 結果的に見れ…

香納諒一「ハミングは二番まで」

★ 高校は時差通学が始まった。コロナ変異株は若年層にも広がりつつある。何もしないよりはマシだ。 ★ 宇治の縣(あがた)祭りは今年も中止。数々の行事が中止になる中で、東京オリンピックの計画だけは進んでいる。昨日の「天声人語」で「コンコルドの誤り」…

ドラマ「BLOODY MONDAY」

★ ドラマ「BLODDY MONDAY」(2008年)を10年ぶりに観ている。 ★ 狂信的なテロ集団とその大量殺戮を阻止しようとする治安組織。高校生の天才ハッカー「ファルコン」が活躍する。治安組織の中にもスパイがいるのか、この緊張感はドラマ「24」のようだ…

髙樹のぶ子「氷炎」

★ 久々に恋愛小説。小説中の小説と言う感じだ。髙樹のぶ子さんの「氷炎」(講談社)を読んだ。 ★ 20代の爆発するような恋もあれば、40代のじわじわっと火がついて燃え上がったらもうどうしようもなくなる恋もある。40代の恋は少々危険だ。 ★ 松戸光介…

悠木シュン「スマートクロニクル」

★ 悠木シュンさんの「スマート泥棒」(双葉文庫)から「スマートクロニクル」を読んだ。第35回(2013年)小説推理新人賞受賞作だという。時代を感じさせる番組や人物が実名でふんだんに盛り込まれ、面白かった。 ★ 物語は1本の電話から始まる。どうや…

蒼井上鷹「キリング・タイム」

★ 雨の土曜日。変異株の前に「重点措置」の効果は見られず、早晩「緊急事態宣言」発出の様相だ。政府の腰が重いのは、オリンピックへの影響と経済への影響を懸念してと新聞は書いている。首都圏から見て、大阪及び関西圏は「対岸の火事」って感じもあるのか…

増田忠則「マグノリア通り、曇り」

★ 増田忠則さんの「三つの悪夢と階段室の女王」(双葉社)から「マグノリア通り、曇り」を読んだ。この作品は2013年、第35回小説推理新人賞受賞作だという。なかなかよくできた作品だったと思う。 ★ 「娘さんを預かりました」と男から電話があった。主…

奥田英朗「名古屋オリンピック」

★ 政権与党の幹事長がオリンピック中止に言及した。開催予定まであと100日。いよいよ「そちら」に舵が切られるのか。ところで、中止ってどういう手続きになるのだろう。1940年のときは「返上」という形だったとか。当時とは規模も違うし、様々な利権…

久和間拓「エースの遺言」

★ 久和間拓さんの「エースの遺言」(双葉社)から表題作を読んだ。この作品は2016年、第38回小説推理新人賞受賞作だという。 ★ かつて監督を務め、チームを甲子園の決勝戦まで進めた男。ある出来事があって、監督を退き、教職も辞して25年。プロへ進…

ドラマ「流行感冒」

★ 先日NHK-BSで放映された「流行感冒」を観た。志賀直哉による原作を読んでいたので、ストーリーはわかっていたが、主人公役の本木雅弘さんに魅かれて観た。 ★ 「流行感冒」とは「スペインかぜ」(新型インフルエンザ)のこと。多くの若者が免疫機能の暴走に…

ドラマ「盗まれた顔」

★ ドラマ「盗まれた顔」(2019年)を観た。原作は羽田圭介さん。 ★ よく交番などで指名手配犯のポスターを見かけるが、街中で彼らを見つける「見当たり」という捜査をしている警察官が主人公。 ★ 数百人と言う顔を記憶する能力と言うのはすごい。私など…

青野暦「穀雨のころ」

★ 「文學界」5月号から文學界新人賞受賞作、青野暦さんの「穀雨のころ」を読んだ。 ★ 芥川賞への最短距離とも言える新人賞。どうも今年は低調だったようだ。 ★ 穀雨というのは4月20日頃の春雨を言うらしい。ストーリーは東浩紀さんの選評で要約されてい…

翔田寛「影踏み鬼」

★ 大阪、兵庫の感染爆発は勢いが止まらず、数理統計によるとこれから恐ろしい局面になるとも。 ★ 東海道新幹線や本線が止まり、国道1号線を始めとする道路が自衛隊によって封鎖され、大阪市や神戸市周辺が隔離される。人の姿のない梅田や難波や三宮、緊急車…

テッド・チャン「あなたの人生の物語」

★ 先日観た映画「メッセージ」の原作、テッド・チャンの「あなたの人生の物語」(ハヤカワ文庫)から表題作(成手公幸訳)を読んだ。 ★ 言語学を知らない者には実に難解な作品だった。「表語文字」「表意文字」「表義文字」ってどう違うのか。「非線形」って…

日常雑記

★ 抜けるような青空だった。今日は近隣の小学校の入学式。正装した親に連れられて、幼い子たちが歩いていた。明日は中学校、高校でも入学式だ。 ★ 春期講座が終わった。確定申告も遂に提出できた。ホッと一息。溜飲が下がるというところか。 ★ 大阪、兵庫の…

乃南アサ「しゃぼん玉」

★ 乃南アサさんの「しゃぼん玉」(新潮文庫)を読んだ。 ★ 家庭に恵まれなかったとはいえ、刹那的な生き方しかできない主人公(伊豆見翔人)。とうに二十歳も過ぎたが、住むところも定まらず、食うに困ればひったくりで食つなぐ。遂には人を傷つけてしまった…

映画「パラサイト 半地下の家族」

★ 「メッセージ」に続いて、「パラサイト 半地下の家族」(2019年)を観た。 ★ 「北の国から」の記事の中で、「人生はクローズアップでは悲劇だが、ロングショットでは喜劇だ」というチャップリンの言葉を引いたが、この作品は、その逆を行くように感じ…

映画「メッセージ」

★ 3週連続で鬱陶しい日曜日だ。どこにも行かず映画を観た。 ★ 2016年公開の「メッセージ」。ある日突然に、謎の物体が地球上の12カ所に現れる。アメリカ政府・軍は言語学者と物理学者の協力を得て、エイリアンとのコンタクトを試みるのだが、未知の言…

ドラマ「北の国から’02遺言」

★ ドラマ「北の国から’02遺言」(2002年)を観た。感動した。およそ20年前、放映時に観たとき以上に感動した。ドラマを観るにも適齢期があるようだ。 ★ 1981年の放映開始のとき、純と蛍の兄妹、それにキタキツネが印象に残っている。それから2…

藤沢周平「邪剣竜尾返し」

★ 春期講座7日目。残り3日。学校が始まるとホッと一息。主婦の気持ちがわかる。 ★ さて、朝の授業を済ませて、面談を1件。昼食を食べながら録画しておいた「森村誠一ミステリースペシャル 終着駅シリーズ37『定年のない殺意』」を観た。笑顔を見せない…

柳田国男「ある神秘な暗示」

★ 何気なくyoutobeで小林秀雄さんの講演「信じることと知ること」を聞いていると、これがなかなか面白かった。 ★ 小林さんはその講演の中で、柳田国男さんの「故郷七十年」「山の人生」を紹介されていた。柳田国男と言えば「遠野物語」が有名な民俗学者だ。…