じゅくせんのつぶやき2

個人塾を経営しています。読書のこと、日常のことをつぶやきます。

乙川優三郎「ろくに味わいもしないで」

☆ 昨日はゲリラ豪雨に襲われたと思いきや、熊本で大地震が起こって、夜の授業は何となく落ち着きがなかった。

☆ 天変地異は致し方ないが、ショッピングモールの爆発には驚いた。大勢いた利用客やほとんどの従業員が避難した後だったのが、不幸中の幸いだ。

☆ 爆発があと数十分早ければ、大惨事になっていたであろう。

☆ 必ず起こるであろう南海トラフ地震も心配になってきた。

 

★ さて今日は、乙川優三郎さんの「太陽は気を失う」(文春文庫)から「ろくに味わいもしないで」を読んだ。

★ 音楽と都会にあこがれて、田舎から出てきた2人の女性。久美子は、ピアニストを目指したが、その方では芽が出ず、しかし、器量が良かったためか資産家の息子と縁があって裕福な人生を辿り始めた。

★ 文江は、ボーカルを目指したが、メジャーデビューすることもなく、地方を回ってジャズなどを歌って食いつないでいる。男運にも恵まれないようだ。

★ 既に彼女たちは50歳を超えた。久美子は夫の不貞に愛想が尽きて離婚。その慰謝料を元手に、文江とかつて夢見たクラブを経営することになった。

★ そうした日々の様子が描かれている。

 

☆ 天下国家を論じるわけでも、社会の不条理を嘆くわけでもないが、人生の半分を経た女性の生きざまが、目に見えるように描かれている。

 

太陽は気を失う

 

 

東野圭吾「眠りたい死にたくない」

☆ 夏期講座6日目。残るはあと20日。まだまだ序盤。

☆ 酷暑が続くが、今年はそれほど忙しくないので、何とか乗り切れそうだ。

 

★ 東野圭吾さんの訃報を聞き、何か読もうとと探したけれど、どれも名作ぞろい。

★ ガリレオシリーズ、新参者シリーズはドラマ化され、どれも面白かったなぁ。

★ 「容疑者Xの献身」はもちろん、「流星の絆」「天空の蜂」、「さまよう刃」「ナミヤ雑貨店の奇蹟」「マスカレード・ホテル」など、傑作ぞろいだ。

★ そんな中、今日は超短い作品、短編集「あの頃誰か」(光文社文庫)から「眠りたい死にたくない」を読んだ。

★ 美人の先輩とデートをして浮かれていた男性が、拉致され監禁。どうやら会社の横領の罪をなすりつけられるという話。

★ 男性は中からぶら下げられた状態。首にはロープが巻かれている。足は不安定なバケツの上。眠ればどうなるか、目に見えている。

 

☆ 締め切りに追われる作家の心理状態が比喩的に描かれているようだ。

☆ その緊迫した状況があとがきに書かれている。

 

あの頃の誰か 東野圭吾 光文社文庫

 

田丸雅智「海酒」

☆ 夏期講座第2クールが始まった。第2クールは、今日から7月末まで。

☆ 高校野球京都府代表は、立命館宇治高校に決まった。

☆ 昨夜は「VIVANT 2」を観た。今夏はドラマが豊作だが、この作品は群を抜いている。初回の世帯視聴率が18%だったという。二桁に到達することが難しいが最近のテレビドラマ。この数字は、どこまで伸びるやら。

 

★ さて今日も超短編。田丸雅智さんの「海酒」(NHK国際放送が選んで日本の名作「1日10分のごほうび」双葉文庫)を読んだ。

★ 主人公の男性は、足の向くまま見知らぬ店に入るのが趣味。その夜は路地の小さなバーに入った。

★ バーと言っても、メニューは「海酒」のストレートのみ。

★ 「梅酒」と「海酒」を間違っていた主人公。「海酒」とは、全国各地、海の風情を凝縮したような酒だ。

★ 男は故郷の、それも彼が幼い頃に過ごした美しい海の酒を注文する。

★ 提供された酒は、まさに彼が幼い頃に感じた海だった。眺めては、飲んでは郷愁が胸に迫る。そんな酒だった。

 

☆ おいしい酒が飲みたくなってきた。

 

☆ 東野圭吾さんが亡くなったという速報が入ってきた。寂しくなるなぁ。

 

1日10分のごほうび NHK国際放送が選んだ日本の名作 (双葉文庫)

 

映画「木挽町のあだ討ち」

☆ 夏期講座第1クールが終わって、今日は休息日。

 

★ のんびり過ごして、映画「木挽町町のあだ討ち」を観た。

★ ドロドロした時代劇かと思いきや、スリリングな展開だった。それでいて、人情噺的な要素もあり、面白かった。

★ シリアスな場面もありながら、柄本佑さんのひょうきんさも良かった。

 

☆ 映画「国宝」といい「木挽町のあだ討ち」といい、舞台が大きな役割を演じている。衣装や美術の腕の見せ所だ。

木挽町のあだ討ち

 

朝井リョウ「清水課長の二重線」

☆ 夏期講座4日目。早寝早起きに少し慣れてきた。

☆ 長い本が読めないので、ドラマを垣間見る。今期のドラマでは「Tシャツが乾くまで」がブレイクしている。TVerのお気に入りが100万に迫っている。

☆ 最初は「金妻」や「恋人よ」のような不倫モノかと思っていたら、何かミステリアスな展開になってきた。

 

★ さて今日は、朝井リョウさんの「清水課長の二重線」(「NHK国際放送が選んだ日本の名作」双葉文庫)所収)を読んだ。

★ ある青年、ゲームソフトのコンテンツ会社に就職したものの、配属されたのは総務課。クリエイティブな仕事をしている同期を横目で見ながら、脚光を浴びない仕事を地味にこなしている。

★ 総務課には、10年、20年とこの地道な仕事をしている課長や部長がいる。

★ 「自分もこうなるのか」と、迷いを残しつつも、今の仕事にそれなりに興味を持ち始めている。

 

☆ 最近はせっかく就職しても、すぐに離職する若者が多いと聞く。ミスマッチもあるのだろうが、「こんなはずじゃなかった」と決断が早い。

☆ 初任給が30万円など、私の時代から思えば夢のような金額が提示されているのだが・・・。

☆ 時代の変化はあまりに早い。終身雇用、年功序列など、今や公務員ぐらいだろうか。だから、若い人は常にスキルを磨き続けて欲しいものだ。

 

NHK国際放送が選んだ日本の名作 (双葉文庫)

 

芥川龍之介「沼地」

☆ 夏期講座2日目。いつもより1時間以上早く起きるので、少々寝不足だ。

☆ こんな状態で小説を読み始めると、心地よく眠りに落ちてしまう。

☆ 某首相は、毎日0~3時間睡眠だという。(もしこれが誇張でないとするならば)この状態で無味な政治文書を居眠らずに読める精神力はすごい。

☆ (ナポレオンの睡眠時間は3時間だったとか。昼寝をしていたとか、真偽は不明だが)

 

★ そんなところで、今日はごく短い作品。芥川龍之介の「沼地」を読んだ。

★ 「私」はある絵画展覧会で1枚の油絵を発見する。濁った水と、湿った土と、その土に繁茂する草木が描かれているだけの絵。重苦しい濁った黄色で彩られている。

★ 「私」はこの絵を傑作だと思っていると、新聞の美術記者が声をかけてきた。

 

☆ 芸術の評価と言うのは、結局何なのだろうか、と考えさせられた。

 

☆ ユーチューブチャンネル「おとなの教養講座」で、美術について楽しく解説してくださった山田五郎さんが亡くなったという。

☆ 原発不明のがんで、最後の収録は酸素吸入の苦しそうなお姿だったが、ご冥福をお祈りします。

 

菊池寛「マスク」

☆ 今期のテレビドラマ、「一次元の挿し木」と「名探偵のままでいて」が興味深い。どちらも「このミス」大賞の受賞作だったかな。

☆ 原作がしっかりしていると面白い。「名探偵のままでいて」は認知症を患っている役の奥田瑛二さんの存在が大きい。

☆ 懐かしい「GTO」も始まったらしい。第1回は、コロナ感染症がキーワードになっている。

☆ 「コロナ」ってほんの数年前の事なのに、なぜかずっと昔の事のように思う。

 

★ ということで、今日は、菊池寛さんの「マスク」を読んだ。

★ 時代は、シカゴ大と早稲田大の野球の試合が行われた時分だから、1920年。スペイン風邪が流行った時代。

★ 肥満体形(写真などでよく見かける)のわりに内臓が弱く、特に心臓に問題があるらしい作者は、流感に怯えてマスクを付けている。

★ 暖かくなって感染者が減ってくると、マスクを付ける人も減り、そんな空気の中で、マスクを付け続けることに、作者は気後れを感じた。いわゆる同調圧力。

★ にもかかわらず、「勇敢に傲然とマスクを付けて」いる青年に出会って、自分が世間や時候の手前、やり兼ねていることをしている青年に不快感を感じたと、自嘲的に物語っている。

 

☆ コロナ禍が去り、街中でマスクをしている人はあまり見かけなくなった。一時期は、マスクをしていないことが罪に感じたが、それも同調圧力かな。

 

☆ さて、夏期講座第一日目。無事に終了。あと27日。