☆ 昨日は中学校の同窓会。卒業から50余年。卒業後も高校が同じとか、ご近所とかで会っている人もいるが、50年ぶりの再会も相当いた。
☆ さすがに半世紀。配られた名札を見て、記憶をよみがえらせ、「ご無沙汰です」という挨拶を繰り返した。
☆ 酒が入ってしまえば、一気にタイムワープ。もはやジジイ、ババア(失礼)と変貌(進化)した人々もかつての少年少女時代に戻ってしまう。
☆ 楽しい時間だった。
☆ 昔、好きだった子に会えた。中途半端な告白をして、振られた記憶がある。それから何か気まずくなって、うまく接することができなかった。半世紀、そのことが気がかりだった。
☆ 今なら言えた。「あなたの事が好きでした」。彼女は笑ってやり過ごしてくれたが、これで、今生に思い残すことが一つ減った気がした。
☆ 次は3年後。古希を記念しての会になりそうだ。みんな壮健であれと願いたい。
★ そんな気分なので、今日は阿刀田高さんの「風物語」(講談社文庫)から「三十年」を読んだ。
★ 中学校の同窓会。主人公はその頃、ある女性を好きになった。いわゆる片想い。告白、いや話しかける勇気もなく、遠くから眺めるのが精いっぱい。
★ 何度か話しかけるチャンスはあった。しかし、あまりの緊張にチャンスを逸した。そして彼女は転校していった。
★ それから30年。同窓会で主人公か彼女と再会する。それぞれに家庭がある。今更何がどおってことでもない。しかし、主人公はスッキリしたかった。
★ 今なら言える。彼は女性に尋ねる。「ぼくは、あなたのことを気に入っていたんです」「一目惚れかな」。彼女は「おそれいります」と大人の対応。
★ 彼女は彼の視線を知っていたという。でもそれはもはや昔日の話。当時の彼女はいろいろと抱えるものが多かったようだ。
☆ 人生は瞬間瞬間の選択の連続。作品では「網目模様」と表現されていたけれど、確かにそうかも知れない。「たら」「れば」は後悔しても仕方ないこと。しかし、それもまた人生の彩かも知れない。
☆ 同窓会は、甘酸っぱい若い日を思い起こさせてくれた。
